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記:1月30日(土)14:00
 

場所:京都大学人文科学研究所本館3階 セミナー室4
 

報告:小野寺史郎
 

タイトル:「中国の近代と日本の近代」の現在
 

【概要】
 アジアに属しつつ、西洋近代を「文明」の基準と見なすことを選択した明治維新以来
の日本にとって、日本以外のアジア――多くの場合それはとりもなおさず中国を意味し
たのだが――の近代をいかなるものとして描くかは、その自己認識と表
裏一体の問題として常に意識され続けてきた。
 日清戦争から戦前にかけての日本においては、アジア主義者・脱亜論者を問わず、日
本の先進性を際立たせる対比物としてアジアの後進性が語られ、「守旧の中国」と「開
化の日本」という図式が自明視されていた。しかし第二次世界大戦における日本の敗北
と冷戦の展開、中国大陸における社会主義政権の成立と日本との国交断絶という状況の
下で、こうした「中国の近代と日本の近代」観に異議を唱える知識人が現れた。その最
も代表的な者が竹内好(1910-1977)であろう。
 一方、戦後日本の「中国の近代と日本の近代」観にとってもう一つの大きなターニン
グポイントとなったのが、日中国交正常化と文化大革命の終結を経て、日中の民間交流
が本格的に再開される1980年代である。中国の改革開放政策への転換と、現実の中国社
会との接触の経験は、日本の知識人の「中国の近代」観を再び大きく揺るがすこととな
った。
 本報告は、竹内好、そして1980年代に「中国の近代と日本の近代」を論じた代表的な
人物の一人である中国思想史家溝口雄三(1932-2010)の所論を取り上げ、彼らの主張
をめぐる現在の日本および中国の議論を手掛かりに、日中双方の「中国の近代と日本の
近代」観の歴史について大まかな見取り図を示すことを試みる。

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