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日時:2015年12月11日(金)14:00-18:00

場所:京都大学人文科学研究所本館4階 第会議室
 

報告者:高階秀爾

 

報告タイトル:「「近代美術/史」とは何である/あったか?」

 

 

概要:

フランスの哲学者ジャン=フランソワ・リオタールは『ポストモダンの条件』(1979、
邦訳1986)において、大きな物語の終焉ということを語っている。「大きな物語」とは
、信仰、真理、自由、主体などに基く思想で、人間の活動の指導理念となるものである
。20世紀後半における「大きな物語」は言うまでもなくマルクス主義であった。その「
終焉」は「歴史の終り」という思考をももたらした。
美術においても、かつてはそれぞれの「物語」を指導理念として、芸術家は教会、王侯
貴族、富裕な市民等を直接のパトロンとして活動していた。しかし、19世紀に市民社会
が成立して、芸術家とパトロンの距離が遠くなると、芸術家は自己の「個性」を拠り所
として制作するようになる。
それが「近代美術」である、1929年設立のニューヨーク近代美術館(MoMA)が打ち
出した「近代美術史観」はポスト印象派以降をその範囲としているが、以上のような視
点に立てば、「近代美術」の誕生はおそらくロマン派の登場にまでさかのぼるであろう

報告においては、「近代/現代」「モダン/ポストモダン」の歴史を、美術を手がかりに
して、Jacques Le Goff, /Must We Divide History into Periods? /(2015) や、
アンドレ・グンター・フランクの『リオリエント』(1998、邦訳2000)などを参照しな
がら歴史叙述の問題とからめて考えてみたい。

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