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【概要】


「今世紀 [20世紀] 後半の英語圏における最も偉大な歴史家」とも評されるE.P.トムス
ン(Edward Palmer Thompson, 3 Feb.1924~28.Aug.1993)は、よく知られているよう
に、1980年代にはEuropean Nuclear Disarmamentのスポークスマン・論客として、核武
装の解除と冷戦体制からの脱却に向け精力的に論陣を張った。核兵器からの解放を人権
やデモクラシーの問題と結びつけ、東西ヨーロッパにまたがる人民戦線的な抵抗を提唱
した彼の議論は、1980年代の平和運動を強く方向づけた。また、自身が明言しているよ
うに、トムスンの核兵器と冷戦への異議申し立ては歴史研究に裏づけられていた。核兵
器の使用を通じて人類が絶滅する客観的な可能性が存在することに現代世界の重大な特
質があるとすれば、核時代としての現代世界において歴史家はなにを語り、どう行動す
べきか、トムスンは1つの回答を示したといえる。報告では、トムスンが論じた「絶滅
主義」「中毒としての抑止」「人民のデタント」等々を跡づけ、現代世界を把握するた
めの手がかりを見出したい。

 

日時:2017年4月22日(土)14時~
場所:京都大学人文科学研究所本館3階 セミナー室4
報告:小関隆
タイトル:「核時代の歴史家:E.P.トムスンと核武装解除運動」

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