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5月13日(金)

 

【報告者】

藤井俊之 

【タイトル】

モデルネをめぐる言説ーボードレールあるいはベンヤミン

【概要】
ボードレールがその美術批評「現代生活の画家」の中で現代性・モデルニテについて語った際、彼の関心は過去の理想ではなく現代のただ中に美を求めることにあった。歴史の中に何かある新しいものが現れるとき、それをいかにして捉えることができるのか。
言葉そのものとしては、17世紀にフランスで戦わされたいわゆる「新旧論争」以来、
ヨーロッパでは周知のものであったモデルネという語彙が、19世紀以後も重要な意味
をもったとすれば、それは、その時々の現代を、過去の黄金時代からの衰退の結果とし
てではなく、何かある新しいものの始まる地点として位置づけたいという近代人の期待
と不安が、そこに反映されていたからではないだろうか。20世紀に、アウラの崩壊と
いう文脈に複製技術の成立を捉えたベンヤミンの重要な参照項がボードレールであった点などを考慮しつつ、今回の発表ではモデルネあるいはモデルニテという言葉をキーワードに現代という時代の枠組みについて考えてみたい。

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